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母に捧げるツーリング

観光地に立ち寄る時間があるなら、知らない街をバイクで走りたい。

何の変哲もない街並みを眺めていると、忘れていた思い出が、心の奥から時折顔を出してくる。
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私の手が電車のつり革に届くようになるずっと前の話だ。

月に一度、土曜日学校から帰ると、昼食もそこそこにリュックを背負った私は、祖母に手を引かれて駅に向かった。

鈍行に揺られた後、しばらく歩いた先にその家はあった。

祖母は私を送り届けた足で帰り、残された私はその家で週末を過ごす。

日曜日、暗くなる前には祖母が迎えにきて、来た時と同じように手を引かれながら駅へと向かう。

マッチ箱のようにちっぽけなその家は、一階が店舗になっていて、弟を連れた母がそこで小さな商売を営んでいた。

その家に通う暮らしは4年程続いたが、店は休みなく朝から夜半前まで営業していたので、母に遊んでもらったことはない。

当時そこに通うことが嬉しかったのか、辛かったのか、そんなことすら思い出せない。

ある日、店の釣銭をくすねて弟と駄菓子を買って食べたことがばれて、母を泣かせてしまったことがあった。あの時はとても辛く、寂しかった。

そうだ、夏になるといつも冷蔵庫にラムネが冷えていたことが嬉しかった。

電車の網棚が、本物の網で出来ていた頃の話だ。
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あの家の隣にあった焼肉屋から漂ってくる匂いのことは、よく覚えています。

一度でいいから味わってみたかったのですが、いつも食卓にのぼるのは母の手料理でした。

店を切り盛りしながら、母は一体どうやって台所に立つ時間を作っていたのか、今となっては確かめる術はありませんが、その理由なら分かるような気がします。

高い建物が少なかった当時、日が落ちた後の帰りの電車からは、家々にともる沢山の灯りが見えました。

私はそれぞれの灯りの中にある家族の風景に想いを巡らすのが大好きでした。

バイクで知らない街を走ると、つい余計なことを思い出してしまうものなのです。にほんブログ村 バイクブログ ツーリング(バイク)へ
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このブログを書いている人

コベ

Author:コベ
MT-09というバイクで、寒さ暑さに負けずに走り回っています

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